TEXT : 牧野佳奈子(ルトワ編集部/ソーシャルツアーコーディネーター)
市民ジャーナリストを養成する、
8bit news × ルトワの共同企画
旅×報道「ジャーナルツーリズム」の
第二回開催が決定しました!
今回のテーマは「福島力を伝える旅」。
あまりに多くの課題を背負っている福島に、わたしたち市民は、どう関わったらいいんだろう。
いろいろ考えた結果、こんな思いに行き着きました。福島にとどまり、暮らし、再興のために始まっている様々な挑戦を伝えるツアーはどうだろう?
例えば今、様々なベンチャー企業が立ち上がりつつあります。自然エネルギー発電所ができたり、福島の未来を支える子供たちを育てるための中高一貫校が誕生したり。
そんな新しい息吹を伝えるツアーにしたい。それにより福島と関わりのない人たちもが、「いっしょに福島を支えていこう」という機運につながればと思っています。
ジャーナルツーリズムは、3つの構成で進められます。
参加者のみなさんは、4~5人のチームに分かれて企画・構成・取材・撮影・編集をみっちり実践。
最終的に動画作品を仕上げ、8bit newsとジャーナルツーリズム専用のYouTubeチャンネルで発表します。
日程と概要はこちら。
事前ワークショップ
6月29日(日) @アーツ千代田3331
現地取材ツアー
7月19日(土)~20日(日) @いわき市
動画編集ワークショップ
8月17日(日) @東京都内
まず、事前ワークショップでは「福島学」や「フクシマ論」で有名な開沼博さんをお招きし、現状や課題を様々な視点から見つめ、共有します。
市民ジャーナリスト論をお話してくださるのは、元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤さん。加えて、もう一人現役ジャーナリストの方をお招きして今求められるジャーナリズムについて熱く対談していただきます。
そしていよいよ、スタッフが事前調査した取材先リストをもとにチームごとに企画&構成開始。ソーシャルクリエイティブプロデューサーでルトワ編集長の山田エイジが、どうしたら視聴者の心をつかむ動画がつくれるか、企画や見せ方のコツもしっかり伝授しますので、そちらも合わせてお楽しみに^^
動画の撮影は、基本的にスマートフォンを使用していただきます。マイクや三脚は貸し出し可能です。撮影方法とインタビューのポイントを学んだら、あとは実践あるのみ!
宿泊するのは、
いわき湯本温泉「雨情の宿 新つた」。風情ある日本庭園の露天風呂は、全国的にも珍しい硫黄泉なんだそうですよ。
各チームで取材・撮影した動画素材は、交流会のときにみんなで鑑賞します。
そして編集に向けて構成を立て直し、ナレーションを入れて…
最後の「公表」までしっかりがんばりましょう。
募集人数:約30人(最少催行人数15人)
参加費:6.5万円(税込み)
*参加費に含まれるもの:各ワークショップ、ホテル(手配料込み11880円)、取材活動中の移動費、取材手配料、交流会にかかる費用、講師謝礼、会場費、事務手数料
*いわき市までの往復交通費は含まれておりません。
*宿泊時にシングル部屋希望の方は、別途5400円が必要です。
主催:NPO法人8bit news、NPO法人Better than today.
旅行手配:ニューライフ有限会社
お申し込み締め切り:6月15日
参加ご希望の方には、お申し込み方法や詳細を別途ご案内しますのでこちらのメールアドレスにお問い合わせください。
journal.tourism@gmail.com(担当:濱野)
TEXT : 牧野佳奈子(ルトワ編集部/ソーシャルツアーコーディネーター)
8bitNEWSとルトワ編集部協同企画、
旅×報道 ジャーナルツーリズム 第一回が開催されました!
市民ジャーナリストを養成する旅プロジェクト「ジャーナルツーリズム」の第1回は、「農業の今」をテーマに開催されました。
旅の舞台は全国二位の農業県、茨城。市民目線でどんな発信ができるのか、参加者もスタッフもドキドキワクワクだった計4日間…その様子を報告します。
ジャーナル・ツーリズム【ツアーフロー】
1日目
社会を知るワーク
番組企画書ワーク
機材ワーク
まず、東京で事前ワークショップが開かれました。
集まった25人の参加者は、年齢も背景も出身地もてんでんバラバラ。マスコミ志望の学生さんや、ボランティア活動に映像技術を活かしたい人、日本の農業に危機感を抱いている人、新しい情報発信を模索している人など、皆さんのモチベーションの高さにはスタッフもびっくりする程でした。
全体の進行を担当したのは、われらがLe toit【ルトワ】金髪編集長・山田エイジです。
参加者は7つのチームに分かれて自己紹介し合った後、チーム名とポーズを決めて発表! 皆さん短い時間ですばらしいチームプレイを見せてくれました。
そして「農業の現状と課題」についてのレクチャーが始まりました。
講師は、まさに今、農水省の政策審議委員としても大活躍の西辻一真さん(マイファーム代表)。
「生きるための食糧生産と、健康になるための食品生産は違う」「農業はこれから衣料品化する(直営とセレクトショップ経営に二極化する)」「今まで日本米の海外評価は低かった」などなど…、独自の切り口で、図や数値も多用して分かりやすく話してくださいました。
午後からの「企画書づくりワークショップ」には、ジャーナリストで8bit News代表の堀潤さんと、現役テレビ演出家の安彦和弘さんが登場。
「報道番組とバラエティ番組は意外と類似している」という話から、「まず、伝えたいことを受け取ってもらえるような仕掛け(演出)が必要」という展開に。
班ごとに企画書をつくる時には、この「演出」に皆さん頭を悩ませていました。
が、最後にふたを開けてみれば…スタッフも大仰天。こんな企画が出来上がりましたよ。
Aチーム「農就活ヤロウゼ!」
大学生の就職先として挙らない農業の現状をリクルートスーツを着た大学生が、農業法人の面接体験を通じて伝える企画。
Bチーム「消費者と生産者のつきあい方」
消費者に事前に聞いた農業へのイメージを、消費者との距離を縮めようと努力している農家にぶつけ、苦労話を取材する企画。
Cチーム「脱サラ就農家・成功の秘訣」
成功者にサラリーマン時代の思い出を語ってもらい、今の生活と比較してもらうことで就農の現実を探る企画。
Dチーム「変わるべきか、変わらぬべきか…六次産業化の現実」
六次産業化に踏み切った農家の方と、まだ踏み切っていない農家の方を交えての討論会を映像化する企画。
Eチーム「田んぼのCEO」
農業法人の社長を「CEO」として描くことで、農業には可能性がないという世の中の先入観を変える企画。
Fチーム「夢は何ですか? どうして農業なんですか?」
農家の方に100の質問を矢継ぎ早に投げかけ、それに答えてもらうことで、農家さんの本音を引き出す企画。
Gチーム「れんこん君の逆再生の旅」
消費者と生産者とを直接つなぐ「新しい流通」と農協や仲買人を通す「従来の流通」との違いを、消費者が野菜を食べるシーンから逆再生でたどっていくことで伝える企画。
ここまでくれば、あとは取材のノウハウです。
堀さんからポイントのレクチャーを受け、アポ取りや撮影のコツを学んで解散となりました。
さぁ、いよいよ取材ツアー@茨城の日。
なんと大雪警報の中、決行することになりました。
土浦駅からチーム毎にレンタカーで出発。
北は常陸太田市から南は稲敷市まで、事前にアポ取りした取材地へ、Go!
今回は「誰でも簡単に発信できる」ことを証明するため、全員が手持ちのスマホで撮影しました。
そこにスマホ用マイクを差し込めば、音声もバッチリ。腕には腕章を付けて、発信用の動画を撮影していることもしっかりアピール。皆さん、サマになっていましたよ~。
結果、各班とも事前の準備が功を成して、とても良い取材ができたようです。
その内容は…夜の懇親会でプチ上映され、各班のディレクターが取材の感想を発表しました。
雪のため駆けつけられなくなった堀潤さんは、急遽googleハングアウトでオンライン参加。都心の交通網麻痺の状況を、ホテルから生中継してくれました。
前日の撮影をへて、動画素材が集まったら、今度は調理(編集)です。それぞれの班が取材内容を整理し、構成を考えるワークショップを行いました。実際にテレビ報道の現場で使われている「ペタ」と呼ばれる手法で番組の構成を考えました。
これがなかなか難しい作業でして…。皆さん悪戦苦闘しながらA4の紙にストーリーを描き、最後に各チームがプレゼンをし、みんなの投票により優勝チームが決められました。
第一回ジャーナルツーリズム大賞は、Aチームの「農就活ヤロウゼ!」に!ご褒美はなんと、ずっと私たちを密着取材してくださったTVKさんの番組「
ニュースハーバー」でのオンエア!(堀潤氏のナレーション付き)
せっかく撮影した素材をぜひ編集したいという希望者が多かったため、後日、編集ワークショップを開きました。
再び集まった12人の参加者たち。iMovieの基本的な使い方を学んだ後、各班ごとに編集作業。ナレーション収録、BGM選び、タイトル作成など編集の面白さを体験してもらいました。
堀さんはその場でアナウンス教室。
「これはプレゼンでも使えますよ~」とアナウンスのコツを惜しげなく伝授してくれました。
最後に仕上げた動画の上映会。全日程四日間の成果をみんなで共有し合いました。企画⇒取材旅行⇒構成⇒編集という流れを体験できるジャーナルツーリズムの第一回、無事終了となりました。完成した動画は8bitNewsで公開されます。乞うご期待!
また今回の全過程は、密着取材してくださったTVKの番組「
ニュースハーバー」にて紹介されます。
参加者の声
様々なバックグランド、様々な意見を持つ人同士が、同じテーブルでラフに話せる環境は、私にとってはあるようであまりなく、刺激的でした!
各チームの企画は、色々とクリエイティブなことが考えられていたと思います。農業と聞いて、真面目なドキュメンタリー風を自分の中で勝手に描いていましたが、人によって表現の仕方、考え方、捉え方が違うのだなと思いました。
取材の難しさ、楽しさがどういったものかが体験できました。今回は農家さんに直接お話を聞いて、農家さんの思いをダイレクトに受けとれたのが良かったです。
次回予告
第2回ジャーナル・ツーリズム2014年初夏開催!
ツアー先は、「福島」!
詳細は、後日 Le toit【ルトワ】facebookページにて発表いたします。
【西辻一真】1982年福井県生まれ。2006年京都大学農学部資源生物科学科卒業。株式会社ネクスウェイに入社し、営業と企画を担当。07年退社。京都の伝統品をネット販売する株式会社おこしを起業。同年、株式会社マイファームを設立し、代表取締役に就任。10年から農水省政策審議委員。著書に『マイファーム 荒地からの挑戦 農と人をつなぐビジネスで社会を変える』(学芸出版社)公式サイト/
http://myfarm.co.jp/。
【安彦和弘】テレビ演出家。『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中』『淳の休日』『嵐の宿題くん』『世界まる見えテレビ特捜部』などを演出。テレビマンの力を社会に活かすNPO法人テレビくん理事長。